『何歳まで生きますか?』

何歳まで生きますか?

何歳まで生きますか?

1974年生まれの著者が、彼と「世代が近く」「同時代の大きな一角を代表している」と感じた人びとに死生観を訊ねてまわったインタビュー集。インタビュイーは11人で、そのうち5人のインタビューを初出のウェブサイトで読むことができる。また、著者はインタビューの裏話などを音声ブログで公開している
インタビュイーの内訳はミュージシャン3人、文筆業3人、漫画家2人、映画監督1人、ニート1人、写真家1人で、企業人・組織人みたいなひとはいない。
読んでいるとなんだか気分が高揚してくる本だ。もちろん、死や人生に対してなにかはしゃいだことが語られているわけではない。語られている内容は暗いとも明るいとも言いようがない。ただ、重要なのは発言の内容よりスタイルなのだろう。ポジティブ心理学の研究では人の楽観主義・悲観主義の傾向を測定するにあたって、CAVE(説明スタイルの逐語的内容分析)という手法を使うらしいのだが(『オプティミストはなぜ成功するか』)、その手法でこの本のインタビューを分析すると、とても楽観主義的な結果が出るのではないか(あるいはぜんぜん測定できないか)。
こういう本を読むと、自分ならどんなインタビュイーを揃えるかということを考える。どんな人に「あなたは何歳まで生きますか」と訊ねたいか。私が考えたのは、山形浩生穂村弘塚本晋也白倉伸一郎押井守永井均、とかかなあ。この本のインタビュイーたちにくらべると、世代が少し上なので評価やイメージや地位が固まりすぎていて面白みがないメンツですね*1穂村弘なら(この本での久保ミツロウのように)「不老不死になりたい」と答えてくれそう、とか予想が付いちゃうしなあ。なかなか難しい。

*1:そしてもちろん、あんまりエラい人だとインタビューを受けてくれなそうです。