読書記録:隠摩羅鬼の瑕(京極夏彦)( isbn:4061822934 )

これぐらい仕掛けがシンプルで、視点人物も少ない方が、ねちっこい文体や視点人物の思考の流れが楽しめるので、良いです。個人的に、京極氏作品を読む時の一番の楽しみは、ダラダラとした文体で紡がれる視点人物の思索・思考をトレースしていく内に、最終的にとんでもない結論に放り出される、現実離れした光景を見せつけられる、というところだと思っているので。この作品は最終地点の現実離れ度はさほどでもないものの(というわけでもないか? 京極世界の展開に慣れつつあるだけ?)、視点人物の思考のトレースはしやすかったので楽しかったです。