ある朝、僕の身体からあらゆる癖が失われた。なくて七癖というがなくなってみるといかに自分が身体的習慣あるいは習慣的身体に行動を縛られていたのかがわかる。口の片側だけで咀嚼することも、左のふくらはぎばかりつることも、貧乏揺すりも吃音もなくなった僕は、君に触れても高揚をおぼえずに済む。