見越し入道になりたいといった。ぬりかべでもいいということだった。とにかく私の行く手を阻みたいというそんな彼の頭を,私は二度三度叩くことまでして押し退けた。こともある。今や彼が私の頭を見下ろすのだが,それで私の行く手を阻めるわけではないという事実は先程思い知らせてきたばかりである。
潮風も波音も砂もわが帰りがたきを知らずそこにあるだけ