まるくもなければしかくくもない、しあわせのかたち

その年の夏、街は記録的な猛暑に喘いでいた。バリケードのように積み上げられた店頭のテレビが、客足も絶えた街路に向けて凄惨な予報を告げる昼下がり、屹立する影のように季節に逆らう漆黒の服をまとって、その女はやってきた。喧騒の染み込んだ街路を刻むその靴音が、彼の事務所の扉の向こうで立ち止まり、またひとつの、物語が始まる……。

というわけで、ニコニコ動画押井守のドラマ CD 「しあわせのかたち 水晶の滑鼠」がアップされていることに気付いて、今聞いている。ずっとこれの CD 探しているのだよね。見つからねー。
それにしても面白いなあ。個人的には押井守の最高傑作(のひとつ)だと思う(押井本人は失敗作だと言ってるらしいけど)。
ジブリじゃないけど、押井守の作品はタイトルに「の」が入っている作品が好きだ。水晶の滑鼠、天使のたまご、灰色の貴婦人( Avalon 小説版)、獣たちの夜、そして、イノセンス。冗談です。冗談なのか。